特集-インタビュー

第3回 岡山明先生が語る 保健事業を成功させるための戦略<後編>

岡山明先生インタビューつづき

今回は、動機づけ支援であれば、20分程度という制限とマンパワーなどの制約もあります。アセスメントをていねいにすることはなかなか難しいのでは?

アセスメントが短くなるということは、それだけ保健指導がむずかしくなると考えなければいけないですね。技術が優れた人がやれば、おそらく何とかなるだろうけれど、慣れない人がやったら、ただお説教するだけの保健指導で終わる可能性があります。

だからこそ、トレーニングは、まずきちんとした系統的なプログラムのなかで行い、そのプログラムで効果を出すという技術を学ぶことです。そしてそれができれば、今度はもう少し簡単なプログラムの中で、学んだノウハウをいかすことで力を出せるようになるし、もっと簡単なプログラムの中でもエッセンスを使えばもっと短い時間でしかも頻度の少ないアドバイスで効果を出していくことができるようになっていきます。


日々の保健指導を通じて、スキルを高めていくにはどうしたらいいでしょうか?

対象者を支援する中で、常に意識して、

  1. 私は正しい知識を持っているだろうか(知識)
  2. 私はその知識をちゃんと伝えるトレーニングをしているだろうか(伝える力)
  3. 対象者の生活習慣をちゃんとアセスメントして最適なアドバイスをできるだけの能力を持っているだろうか(アセスメント)
  4. それに基づいて、その人に最も効果的なアドバイスをして行動変容を支援していく技術があるだろうか(支援)
  5. その結果として起こる生活習慣の変化や検査値の改善を正しく評価する技術を持っているだろうか(評価)
という、この5つのことが保健指導の骨格になりますから、自分はそれのどこが足りていないのかというのをいつも参照することが大切です。


最後に保健指導に関わる方へメッセージをお願いします。

財団法人結核予防会常任理事 岡山明先生 保健指導をやっていると、「ここまでやらなくても」という気持ちが必ずどこかで出てくるかもしれません。「ここまでやらなくても住民の人は言うこと聞いてくれる」とか、「ここまで本気になると美しくないな」とか、「しゃかりきになるのは何か嫌だな」とか、そういう気持ちです。

でも、その気持ちを越えられたら効果が出る。私が今までの研究でひどい失敗はしていなのですが、たいてい失敗しかけているんですね。そのときのことを考えると、ためらいとか、そこまでやらなくてもといった気持ちがあったんですよ。それを乗り切ってしまうと、「達成するためには何でもやるぞ」という気持ちになりました。そうすると結果がついてくるものなのです。ようは腹をくくる。とことんやる。逃げない。すると対象者の人にその気持ちが伝わりますから。子どもの教育と同じで、こっちに迷いがあれば、やっぱり相手に伝わるもの。相手も迷うわけです。逆に自信があればそれが態度にあらわれて、それが相手に伝わっていきます。


うまくいくという自信をもつことが保健指導でも大切なんですね。

とにかく実際にやって自信をつけること、効果を証明することです。対象者にはいろいろな人がいます。もう駄目だと思った人がすっとうまくいってみたり、これは楽勝だと思った人が実はものすごくむずかしかったり。こうした経験をしていきながら、それでも全体の6〜7割の人がちゃんとアドバイスを聞いてくれたという感覚が身につけば、次からはもっと自信を持ってできるはすです。これを積み重ねていけば、きっと保健指導がどんどんうまくいくようになっていくと思います。


取材後記

7月に結核予防会検診センター所長に転身された岡山先生は、組織を知るために会うのが一番とスタッフ全員と面接中のご多忙のなか、快く取材をお引き受けいただきました。取材では特定健診・特定保健指導の良い点、悪い点を明確に挙げ、成功のための改善策、そして保健指導の進化の方向性も構想されていらっしゃるようでした(残念ながらまだ企業秘密とのこと)。今後の結核予防会でのご活動をぜひ取材していきたいです。

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