特定健診、特定保健指導において、メタボや血糖、血圧と比べ、いまひとつ主役の座にいなかった「脂質」。今回の連載では、「脂質」についての知識を、わかりやすくご紹介します。
まずは選択制のクイズに挑戦してみてください。講師の坂根先生が、素朴な疑問に答えながらクイズの解説をします。
全問正解すれば、あなたは脂質博士!?
「坂根先生、教えてほしいことがあって・・・」
「どうしたの?」
「メタボの人の指導には慣れてきたんですけど・・・最近、コレステロールや中性脂肪の人から質問を受けることが多くなって・・・」
「なるほど」
「あぶらって、『油』って書いたり、『脂』って書いたりするじゃないですか。どちらが本当なんですか?」
「どちらも本当だけど、油と脂には意味に違いがあるよね。」
「えっ、そうなんですか。その違いって何ですか?」
「『油』は『氵』(さんずい)偏だよね。それに対して『脂』は『月』(にくづき)だよね。それがヒントだね。」
「さんずいと、にくづきですか。えっと・・・坂根先生、教えて!」
「オリーブ油や魚油などの油はさんずいだから、室温程度の常温では液体なんだ。それに対して・・・」
「それに対して?」
「バター、ラード、肉の脂身などは、常温で固体となる。これが『脂』なんだ。」
「油と脂の違いは、常温で液体か固体で見分けられるんですね。」
「そうなんだ。油と脂の違いは、『融点』(固体が溶け出す温度)の差にあるんだ。」
「ところで、無駄話をしている人のことを『油を売っている』というじゃないですか。この油を売るって、どういう意味なんですか?」
「それはまたの機会に。」
「またって、いつ・・・」
部首 | 室温の状態 | 例 | |
---|---|---|---|
油 | 氵(さんずい) | 液体 | オリーブ油、魚油 |
脂 | 月(にくづき) | 固体 | バター、ラード、肉の脂身 |
安くて便利な「コーヒーフレッシュ」。大半の「コーヒーフレッシュ」の原料は植物油。そのため乳糖不耐症の人でも飲むことができます。しかし、酸化しやすいので小型カップに包装されています。「コーヒーフレッシュ」が日本で販売されたのは1976年。「コーヒーフレッシュ」が開発される前は、コーヒーに牛乳や生クリームを入れていましたが、あまり日持ちせず、値段も高かったなど課題があり、現在の形になりました。最近では、トランス脂肪酸を気にする人のために生クリームを使用した少しお高めの「コーヒーフレッシュ」も出てきました。
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