Dr.坂根の健康検定〜脂質異常版〜 坂根直樹

特定健診、特定保健指導において、メタボや血糖、血圧と比べ、いまひとつ主役の座にいなかった「脂質」。今回の連載では、「脂質」についての知識を、わかりやすくご紹介します。

まずは選択制のクイズに挑戦してみてください。講師の坂根先生が、素朴な疑問に答えながらクイズの解説をします。
全問正解すれば、あなたは脂質博士!?

第9幕 「家族性高コレステロール血症」

健康検定

  • ◎質問:
    コレステロールが高かったのは?

<選択肢>

  • 1.
    モナリザ
  • 2.
    ナポレオン
  • 3.
    織田信長
H子

「坂根先生、教えてほしいことがあって・・・」

坂根

「どうしたの?」

H子

「『僕は体質的にコレステロール値が高いので、食事療法をしてもコレステロール値は下がらないから』って言われて・・・母親もコレステロール値が高くて、家族性なんだ、って・・・」

坂根

「家族性高コレステロール血症のことかな?」

H子

「それです。その病気を持った人は薬を飲まないといけないんですか?」

坂根

「家族性高コレステロール血症の人はLDLの受容体やこれを働かせる遺伝子に異常があって、血液中のコレステロールが異常に増えるんだ。」

H子

「まれな病気なんですか?」

坂根

「確かに、母親由来の遺伝子と父親由来の遺伝子の両方に異常がみられるホモ接合体の人は、100万人に1人とも言われているけど、母親か父親由来のどちらかの遺伝子に異常がある人(ヘテロ接合体)は500人に1人とも言われているんだ。」

H子

「結構、多いんですね。」

坂根

「15歳以上の家族性高コレステロール血症(FH)の診断基準は、高LDLコレステロール血症、腱黄色腫あるいは皮膚結節性黄色腫、FHあるいは早発性冠動脈の家族歴の中で2項目があてはまる場合、FHと診断するんだ。」

表 FHヘテロ接合体(15歳以上)の診断基準

  1. 高LDLコレステロール血症(未治療時のLDLコレステロール≧180 mg /dL)
  2. 腱黄色腫(手背、肘、膝などの腱黄色腫あるいはアキレス腱肥厚)あるいは皮膚結節性黄色腫
  3. FHあるいは早発性冠動脈疾患の家族歴(2親等以内の血族)
H子

「なるほど。」

坂根

「FHの薬物療法としては、スタチンやゼチーアみたいな飲み薬以外にPCSK9阻害薬といった注射薬やLDLアフェレシスといった透析みたいに血液中からLDLを直接取り除く方法もあるんだ。」

H子

「へぇー、治療って進歩しているんですね。」

坂根

「FHのLDLコレステロール値の管理目標値は100mg/dL未満(あるいは、未治療時の50%未満)となっているけど、薬だけじゃなく禁煙・運動・肥満の解消などはかかせないんだ。なぜなら、動脈硬化になる原因はLDLコレステロールだけじゃないからね。」

H子

「なるほど。LDLコレステロールだけでなく、包括的に考えないといけないわけですね。ところで、診断基準の早発性って、何歳ですか?」

坂根

「それは、またの機会に。」

H子

「またって、いつ・・・」

健康検定

  • 正解は
    1.モナリザ

解説

ルーブル美術館にあるダ・ヴィンチの傑作「モナリザ」。モナリザをよく見ると、左目の横に眼瞼黄色腫(コレステロールの塊)が見られ、さらに、キラリと光る角膜輪も認められています。もしかすると、モナリザは家族性高コレステロール血症だったのかもしれませんね。

<参考文献>

  1. Ose L: The real code of leonardo da vinci. Curr Cardiol Rev. 2008;4(1):60-2.
著者 坂根直樹(さかねなおき)

著者プロフィール

坂根直樹(さかねなおき)

独立行政法人国立病院機構京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室

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